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[日販商品データベースより]
カナダで市民として暮らしていたにもかかわらず、第二次大戦中に「敵性外国人」として離散と抑留を強いられ、自国の政府によって財産や権利を奪われた日系カナダ人。謝罪と補償(リドレス)を求めた戦後のリドレス運動には、差別や偏見、遅々として進まない政府の対応、日系コミュニティ内部での対立など多くの壁が立ちはだかった。「多様性の国」カナダが真に公正であるかを問い、カナダ先住民の権利運動などにも影響を与えた不屈の闘いの舞台裏を、運動を率いた日系3世の著者がつづる。
本書は、リドレス運動の回想録としてだけでなく、日系移民とその各世代、日系カナダ人社会の複雑さについても知ることができる内容となっている。カナダへ渡り、戦時中の差別や困難な状況を生き抜いた一世は、個人補償よりもコミュニティ全体への補償を支持する傾向にあった。著者は、それは耐えた苦難のむなしさや、政府と争うことへの抵抗などを感じていたからかもしれないと述べる。また社会的にも経済的にも低い地位にあった移民であるそうした一世の親の子どもとして育った二世は、カナダの文化の中で生まれ育った世代で、中にはカナダ社会で生き延びるために自分たちの日本的な文化や価値観を捨て、主流社会に同化することを目指した人たちもいた。そのため補償に対する二世の考えは様々だった。そして三世は、親や祖父母とは異なる社会・経済的環境で育ち、日系としてのアイデンティティや文化的遺産に関心が薄い人もいれば、積極的にコミュニティに参加する人もいた。最終的に謝罪と一人当たり2万1000ドルの補償を勝ち取ったリドレス運動は、そうした痛みと葛藤の記憶や日系文化を上の世代から継承し、日系コミュニティに尊厳と未来をもたらしたものであった。